アレクサンダー・テクニーク

本番中楽譜から目を離すのが怖くなって身体が緊張してしまうのは、演奏に不安のモチベーションが潜んでいる証拠。

僕はこれまで演奏中に、急に楽譜から目が離せなくなって、身体が固まってしまうという経験をかなりしてきました。

曲は特に難しいわけでもないのですし、練習中は全然そんなこと気にしていなかったのですが、舞台に立つと急に楽譜以外のものを見ることができなくなって視野が極端に狭くなり、それに伴って身体が不自由になり、演奏が上手くいかなくなってしまうのです。

 

この悩ましき症状に関して最近、解決に向かうとてもいい発見があったのでここに記したいと思います。

演奏中に力が入ってしまう、練習と本番での良くない違いに悩んでいつ人の手助けになればと思います。

 

ポイントは楽譜を見るときのモチベーションでした。

 

考察①楽譜を用意するモチベーションが身体の緊張に大きく関係している。

すべての本番で、楽譜から視線を外せなくなり、身体が不自由になってしまうわけではありません。

僕の場合、大丈夫な時とそうでない時の違いがはっきりしていました。

 

楽譜を見なければ吹けない、という状況だと、視野の狭まりや身体の緊張は起こりません。

逆に楽譜を見なくても絶対吹ける、という状況もこの症状はでません。

 

視野の狭まりや身体の緊張が一番顕著に表れるのは意外にも、楽譜があったら安心、というときでした。

 

よくよく考えると「楽譜があったら安心」は「楽譜がないと不安」とほぼ同じ意味です。

 

楽譜がないと不安、というモチベーションの中で舞台に上がり、そこに楽譜があった場合、ひとは楽譜を見るでしょう。

そして楽譜から目をそらしたら間違えてしまうかも、という不安から楽譜から目を離せなくなり、それが身体の緊張を生み出すのです。(本番のように感覚が敏感に心理状態ならなおさらです。)

 

 

考察②楽譜を見る=○○を見ない になっている

もうひとつ気づいたことがこれです。

 

楽譜にくぎ付けになってしまうときは、たいてい(そしてかなりの場合無意識的に)お客さんから目をそらそうとしています、視線が嫌に感じるからみないようにしよう、と考えてしまっています。

 

 

演奏するときに正面を向く楽器のひとは、演奏中の視界の90%は客席、およびお客さんです。

その視界の90%から目をそらそうとすると、残っている目のやり場は楽譜しか残っていません。

 

この場合楽譜に書いてある音符を読むためではなく、お客さんから目をそらすために楽譜を見ようとしているのです。

 

 

でもこの場合のように「楽譜以外は見ない」となると視野は極端に狭くなります。視野が狭くなると身体の緊張を引き起こしやすくなります

 

ぼくは楽譜から目が離せなくなる状況を、身体の緊張を生み出す状況を、自分自身で作っていたのです。

 

 

視線の固定・身体の緊張の改善ポイント

ぼくは自分が演奏に不利になる状況を自分自身で作り出していました。

でも自分で作り出したということは、自分で改善していけるということ。

今までの流れで「何故そのような状況になってしまったのか」という理由に検討がついたところで、次は改善策について考えていきます。

 

 

改善ポイント①「楽譜を見る理由」を明確にする


本番に楽譜を用意します。

 

なんで楽譜を見ることにしたのでしょう?

なんのために楽譜を見るのでしょう?

 

これについて考えていきます。

なんででしょうか?

 

おそらくほとんどの人は「やりたいように演奏するために必要だから」楽譜を見るわけですよね。

 

 

そうです。

ぼくたちは「楽譜がないと間違えそうだから」楽譜を用意するのではなく、自分がやりたいように演奏するために楽譜を用意するのです

 

 

もっと具体的にしていくと、

奏でたい音楽を、奏でたいときに、演奏する(=やりたいように演奏する)ために楽譜を見る、ということです。

 

このことをしっかり自覚しておくことが大切です。

 

 

改善ポイント②「発信の意図を持つ」


もう一つのポイントは「誰に音楽を届けるか」を考えることです。

 

音楽を届ける先は、お客さんです。

 

視界には当然お客さんが入ってきますが、お客さんの視線を(うう・・いやだな・・・)思う代わりに、視線をそらそうとする代わりに、音楽を伝える対象としてとらえる。

 

ぼくは音楽を伝える先としてお客さんを見たとき、身体の不必要な緊張からかなり解放されたような感じになることができました。

 

 

 

楽譜を見てしまうのではなく、楽譜を見ると決めることが大事

改善ポイント①②を合わせて具体的なプランを作ります。

 

自分がやりたいように演奏することでお客さんに音楽を届ける、そのために楽譜をみよう

 

ぼくはこう考えて楽譜を見ながら演奏をしたとき、楽譜から目が離せなくなること、視野が狭くなること、それによる身体の緊張はほとんど起こっていないことに気が付きました。(もちろん本番特有のドキドキはありました。)

 

このときは、お客さんのほうは見ないで楽譜だけ見ている、というよりは、視界にはお客さんも会場も入っているけど、そのなかで楽譜に焦点を当てている、という見方でした。

楽譜を見てしまうのではなく、自分で楽譜を見ると決めるという能動的な意識が良い結果につながったようです。

 

今回は本番特有の興奮はありながらも、いい意味で冷静にいることができました。

 

 

まとめ

事実に即した具体的なプランがあると、自分にできることがわかって、それに集中することができる。

 

今回のポイントは

・否定的・消極的な理由で楽譜を見ると緊張につながる可能性がある

・改善には「何故楽譜をみるのか」「だれに伝えるのか」を明確にしたうえで演奏する。

 

でした。

本番中に一点から目が離せなくなってしまったり、視野が狭くなったり、身体が緊張してしまったりしたときの、解決策の一つとしてその都度思い出そうと思います。

-アレクサンダー・テクニーク
-